えびのらくがき

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グッド・バイ(太宰治)〜絶筆小説の気になる続きは?〜

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今回は、『グッド・バイ(太宰治)』を紹介します。

大学生の時に人間失活を読んで以来、太宰治ファンになり今でも好んでよく読む作家の一人です。そんな中でも今回の『グッド・バイ』は絶筆となったグッド・バイを含む太宰晩年の短編集です。

 

内容

1作品あたり20-50ページ程度の全16作品が収録された短編小説集です。自身の告白を綴った『苦悩の年鑑』『十五年間』、戦後の現実への絶望を綴った戯曲『冬の花火』『春の枯葉』、未完の絶筆『グッド・バイ』が収録されています。

感想

ここではこの短編集のタイトルともなっている『グッド・バイ』についての感想を書きたいと思います。

太宰治と言えば、人の内面の醜さのようなものを自虐を含めて綴るどんよりとした作品が多いと思っていますが、このグッド・バイはどちらかと言えば明るめの娯楽要素を含んだ大衆向けの作品であると感じました。ストーリーを簡単に説明すると、

主人公は田島周二という34歳の男で、東京で働く雑誌オベリスクの編集長。しかしそれは表の顔で、実際には闇商売でしこたま儲ける闇の住人である。妻と子供を田舎に残して自分は10人もの愛人を作っている。しかし心機一転、闇商売から足を洗い妻と子供を東京に呼ぶ決心をし、愛人にグッドバイを告げに行くという話です。

 

この物語の面白いところは、愛人と別れる方法です。なんとも太宰らしいやり方というかなんというか、それは美人を連れて愛人宅を訪問し、向こうから諦めさせるという作戦なのです。闇商売の同業者で美人のキヌ子という女を金で雇って、愛人宅を訪問して回ることになるのですが、意地汚く金にうるさいキヌ子と、主人公周二との掛け合いは痛快です。

物語が途中で終わってしまっているのが非常に残念ですが、太宰作品の中でもユニークで楽しい小説で、最晩年の作品にして新たな一面が見られた貴重な作品だと感じました!

 物語の続きは?

ちなみにこの物語のオチは、愛人10人に別れを告げた後、実妻から愛想をつかされてグッドバイされる、という説があります。ストーリーの流れからしても自然で、個人的にもこの説が有力だと考えています。

評価

おすすめ度:★★★★☆

続きが気になる度:★★★★★

397ページ

 

グッド・バイ (新潮文庫)

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